読書日記 / イラスト&図解でわかるDX

図書館で借りて読んでみた。

 

まえがき読むと「本書を読むとこうなれます」みたいなことが書いてあって

自己啓発本みたいでちょっと不安だったけど

新しい技術とそれによって世の中どう変わっていくかが具体的に書かれていて、

すごく面白かった。

2019年発行の本だけど書いてあることは全然古くないと感じた。

(ここ数年の具体的なニュースは除く)

 

挿絵は理解に役立たなかったので、

タイトルの「イラスト&図解でわかる」は取った方が良いと思った。

 

以下面白いと感じた部分をメモベースでまとめた。

 

 

第1章:DX(デジタル・トランスフォーメーション)とは何か?

「DXしていかないとGAFAのような企業がディスラプト(破壊)してエクスポネンシャル(指数関数的)に変化していく世の中についていけませんよ」的な内容。

 

色んな媒体に書いてあるDXの定義を紹介しているが、

期待していたDXの明確な定義は述べていない。

引用している経済産業省

「新たなデジタル技術を活用して新たなビジネスモデルを創出・柔軟に改変する」

という表現を読んでも

「IT化をより強く煽るようなもの」という感じのふわっとした理解を脱せず。

 

「世の中このくらい変化してますよ、しますよ」の例として

後述の技術・産業について掻い摘んでいる。

 

第2章:デジタル技術が生み出したビジネスモデル

ユニコーンデカコーン企業に共通のビジネスモデルについて紹介。
自社資産を極力持たずに物やサービスの提供者と利用者を繋げるところが共通点か。

 

第3章:今後、複数の業界で競争ルールを変える注目すべき基盤テクノロジー

既存の産業を脅かすデジタル技術について紹介。


1.AIとIoT

AIは以下のように分類される。

教師なし学習

教師あり学習

強化学習

 

IoTが発達することで、

例えば自動運転AIは一つの車での経験だけでなく、

IoTで繋がった全ての車の経験を使うことができるようになる。

 

2.ブロックチェーン

改竄を防ぐ技術であり、漏洩を防ぐ技術ではない。

スマートコントラクトと組み合わせることで契約や取引が簡略化。

戸籍や登記の管理も省力化できるが、

日本の登記情報は不正確でブロックチェーンへの移行は難しいらしい。

 

3.デジタルツインと3D

デジタルツインとは実在する機械や生き物を

センサーによりデジタル上に再現すること。

シミュレーション、動作監視、故障の予知検知/原因究明が可能になる。

デジタルツインは3Dプリンタで実物化したりARグラスで投影することで

視覚化して理解しやすくすることにも利用可能。

 

4.VR・AR

設計、トレーニング、不動産等の商品案内に利用。

ワイヤレス化、小型化、5Gによる遅延解消で

もっと便利に広大な仮想空間が体験可能になる。

 

5.スマートスピーカー

音声で操作できるのでスマートホーム(自宅内IoT)のハブとしてスマホよりも便利。

 

6.3Dプリンタ

強度と信頼性、大量生産に向かないといった課題をクリアしつつある。

3Dプリント肉で食料問題、食中毒、環境問題を解決。

柔らかくて伸縮性のある素材やセラミックを印刷できる4Dプリンティングも登場。

 

7.バッテリー

バッテリーの価格、寿命、交換頻度、1回の充電による航続距離、地方の充電ステーション不足といったEVの課題は改善されつつある。

 

第4章:ディスラプトされる産業

既にディスラプトされた、またはされかけている産業。

・百科事典、辞典
・CD/DVDレンタル(販売)
・旅行代理店

そうね。

 

自動車産業

EV化すると部品点数が減る+3Dプリンタで単純な部品の組み合わせで作っていた複雑な形状の部品を1つにまとめて製造できる。

すると新興メーカーでも車を大量生産できるため、

市場に参入し低価格で販売するようになる。

実際、BYD(中国)、テスラのように安全性に問題のない車を10~20年で販売できるようになる企業あり。

また、車の保有者は維持費を軽減するためにシェアに移行する。

供給過多になって販売台数が減る。

 

メーカーはUberのロボットタクシーみたいに

EV+自動運転を使ってサービスを提供した方が良い。

部品メーカーはセンサー+デジタルツインを利用して

故障の予兆検知のようなサービスも付加しないと生き残れないかも。

 

・火力発電と電力業界

極端な話、太陽光パネルと充電バッテリーが進化して家庭(企業)内の電力が全て賄えるようになれば、

火力発電所が不要になりそこで使われるボイラーやタービンも不要になり電力業や製造業が職を失う。

(急にはそうならないが徐々にそうなる)

 

余剰電力の販売も今のFITのように電力会社を仲介するだけではなく、

P2PやVPP(バーチャル・パワープラント)という選択肢もできるだろう。

また、コミュニティソーラーという太陽光パネル版のパブリッククラウドみたいなのもあるらしい。

 

ただし今の送電線網は電力会社を仲介せずにP2Pができる作りになっていない。

そこで、移動式バッテリーという形で前述の車を利用する案が生まれる。

1日の95%にもなる動いてない時間で家から充電し、

余剰電力を必要としている人に届けに行く。

自動運転なら保有者の時間も割かない。

 

また、車はバッテリーだけでなくロボットタクシーサービスに貸すという利用方法もある。

そうすると車に資産価値が出る。

 

車すごい!ってなるけど現状のバッテリー技術では

短命なことと接続が家⇒車の片方向なことからまだ無理らしい。

 

・教育産業

今は大学に合格するためにスタサプのような教育サービスがあるが、

これからはTEDトークのようなサービスが教育機関になり、大学は研究機関になり、

学費や政府の補助金ではなく研究成果の事業化による利益で維持する必要が出てくる。

VRでは簡単に歴史を学べる他、

偉人の視点を体験することで優秀な思考を身に付けることが可能になるだろう。

また、翻訳技術の発展で外国語を身に付ける必要がなくなる。

 

・小売・流通業

消費者の利便性追求のためにオンライン販売が発展した結果、

宅配業者にしわ寄せが来ている。

物理的なモノの移動からは逃れられないので、

物流の効率化はDXの鍵を握ると言っても過言ではない。

 

自動運転、自動倉庫による人件費の削減。

例えば3Dプリンタ靴屋に置けば工場と店舗間の物流は0にできる。

物流の課題がなくなれば小売はますますオンライン販売中心になり、

実店舗は単なる受け取り場所、または体験型のショップになっていく。

 

スマートフォン

画面の狭さ、歩きスマホといった課題を解決する、

スマートアイウェアが台頭するだろう。

入力デバイスは仮想なのでキーボードは不要。

 

スマホからスマートアイウェアへの移行が進むとARだけでなくVR空間の利用も進み、

VR空間上でのショッピングやライブ等の体験を売買するための

新しいプラットフォームを作る企業が出て来て、

GoogleAmazonが取って変わられるかもしれない。

 

・銀行

貯蓄、決済、貸与が全てデジタル化されると現金を守る銀行が不要になる。

しかも今の銀行には投資効果がほとんどない。

 

融資についてもクラウドレンディングによって

オンラインでユーザから受けることが可能。

 

第5章:これから発展する産業

今後伸びていくだろう産業について紹介。

 

1.長寿・美容産業

センサーとデジタルツインでシックケアからヘルスケアへ。

(例:HLI社のヘルス・ニュークレアス)

 

小型化された安価な超音波センサーの登場で高価なCTやMRIは不要になり、

AI診断と組み合わせることで仮想医者を持ち歩ける日が来るかも。

 

現状新薬の市場投入には10年以上の時間と25~100億ドルの資金が必要。

デジタル技術による自動製薬が実現すれば

安く早く、かつ一人一人に最適な薬が提供できる。

 

再生医療は臓器だけでなく肌を若返らせるようなこともできるかもしれないので

美容産業でも注目。

 

2.都市農業・細胞産業

既存の都市農業(LEDによる野菜の室内栽培等)が

デジタル技術発展と自動化によるコスト削減で収益性が増す可能性。

 

3Dプリンタによる肉の培養。

 

3.宇宙産業

ロケットはサンダーバードのように打ち上げたときと同じ姿勢で戻って来れると

次に打ち上げるまでの時間が短くでき、

再利用できるので費用も数百億円が数十億円になる。

また、ここでも3Dプリンタで部品を製造することで

コストを削減とリードタイムの短縮を実現可能。

 

衛生や成層圏バルーンによる無線インターネットアクセス技術を実現しようと

SpaceXAmazonFacebookGoogle等の企業がプロジェクトを立ち上げる。

 

SBSP(Space Based Solar Power)という技術で

宇宙で捉えた太陽エネルギーを地球に無線で送電できる。

これにより昼夜問わず発電でき、天候に左右されることもない。

 

宇宙鉱山という言葉を見て、

地球のエネルギーは枯渇すると言われてるけど

宇宙はどうなのだろうかと思った。

 

4.VR・AR産業

仕事も遊びも旅行も物理世界からバーチャルな世界に移行するだろう。

ゲーム業界に閉じていたVR・ARエンジニアを外に引っ張り出し、

専用のOS・アプリストア等のプラットフォームの市場を握った企業が

未来のGAFAになるだろう。

 

5.スペーシャル産業

スペーシャル・ウェブという上記VR専用のOSで参加する空間を表す言葉がある。

マジックリープ社がMagicverseなるものを作ろうとしてる。

 

6.エンターテインメント産業

スペーシャルウェブ上のエンタメについて紹介。

 

7.教育・コーチング・スピリチュアル産業

知識・情報が簡単にネットで無料で簡単に手に入る中、

それを得るために学校に通うのは時間と金の無駄。

効率的に正しい情報を手に入れ、いかに多くの人と協調して答えを出すかが重要。

そのための理想的な教育サービスがまだないため、

大きなビジネスチャンスが眠っている。

 

変化への適応をサポートするAIコーチや、

変化に疲れた心を癒す仮想体験等のサービスも増えるだろう。

 

8.モビリティ産業

自家用車としての価値が薄れている車がMaaSでサービスとしての価値を得ている。

日本では2種免許を持たない個人がタクシーサービスを提供することはできないが、

自動運転が発達すと無人タクシーが生まれ、2種免許は意味がなくなる。

 

Uber等のMaaS既存大手にとっての驚異は以下の2つ。

  • 今まではMaaSの提供側は車を保有する必要がなかったが、無人タクシーを展開するには車を保有する必要がある
  • 大量の車を保有している自動車メーカー、レンタカー会社が無人タクシーになると強い

 

また、自動運転が発達すれば運転席がなくなって住めるようになり、

不動産等の在り方が変わるかも。

 

9.SDGs

この頃からあったのね。

 

第6章:変化の本質

まとめみたいな感じで今までの内容のまとめ。

 

第7章:企業・個人のDX生き残り策

時代の波に乗るためにやるべきことを紹介。

 

 

以上。